長野県の山岳ガイド

やけやまさわ焼山沢 (1907m)武石村
美ケ原高原王ヶ頭の北に鎮座する山だが、美ヶ原の名の陰に隠れその存在すら知られていない焼山
だが、北麓の武石村から渓流沿いに美ヶ原に登りつめる山道は登った誰もが口を揃えて絶賛する。
焼山の東山腹は苔生す緑の岩とそこから湧き出る水源流の調和が美しいバリエーション豊かなコー
スとなっており、中でも源頭間近にある焼山滝は圧巻。本流から豪快に流れ落ちる雄滝、支流から
幾筋もの糸を流したような雌滝の姿の異なる二つの滝はいつまでも見ていたい光景だ。焼山々頂へ
は焼山滝から更にシラビソやコメツガなどの針葉樹林帯を抜け、美ヶ原高原に出てから辿る。溶岩
台地と思われていた美ヶ原高原は、第四紀に活動した焼山火山の浸食地形ではないかとも言われ、
名の知れた美ヶ原高原にとっては無くてはならない山なのかも知れない。



焼山沢川源頭の小滝まで渓流沿いを行く ■2005.8.27

無雪期コースマップ
美ヶ原&霧ヶ峰高原エリア・目次

登山口までのアクセス

松本方面から国道19号松本市平瀬口信号を右折して国道254号に入り、三才山トンネルから丸子

町に向う。長野方面からは国道18号上田市大屋信号を右折し国道152号に入り丸子町に向い、

武石沖信号を右折して県道62号線(美ヶ原公園沖線)に入り一本道で武石村観光センターに辿る。観

光センターから1km先左に登山口道標があり更に200m先右側に駐車地がある。

■駐車:登山口先の広地に余裕

■トイレ:武石村観光センター内


コース解説

登山口は武石川ダム湖脇にある駐車地から一旦県道62号に出て200mほど戻った道沿いにある。

美ヶ原まで6kmと表示された大きな道標を右折し山中に入る。登山口から既に焼山沢川の渓流沿い

を行くのだが、1kmほどは道幅が広く草地の歩き易い道が続く。ただし時期によっては、ほどよい

湿り気と日当たりは蛇には好都合らしく結構多く見かけるが、もともと大人しい動物なので見るだ

けにしておこう。渓流の瀬音が近くに聞こえる頃、焼山沢川に出合う。幅広の丸太橋が架かってお

り、渡りきった河原の広地は小休止するに良い場所だが、草地の広い道もここまでで、ここからは

渓流左岸を行く苔生した岩ゴロ岩道となる。渓流と近づいたり離れたり、幾度か枝沢からの流れを

横切り、次第に高度を上げて行く。トチの大木道標辺りからは渓流と大分離れた山腹を行くように

なり、再び登山道が渓流脇を歩くようになると、ほどなくコース最高の見所「焼山滝」で、正面には

焼山沢川本流からの雄滝、右方には雌滝が見える合流地点(標高1520m)に辿り着く。暫し二つの滝

を見ながらの休憩をしよう。焼山滝からは今まで登ってきた方向に戻る感じに焼山の東斜面をトラ

バース気味に行くと樹間から谷を挟んだ尾根上に「鬼ヶ城」の岩峰群が展望出来る。

鬼ヶ城道標脇を左に屈曲すると、登山道は更に狭くなり左側は草付き崖で切れ落ちているので足元

に注意しよう。ジグザグを繰り返し登って行くと露出岩が山斜面側に現れ、ヒカリゴケが緑色に輝

いている岩穴があるので見つけてみよう。露出岩ゴロ地を過ぎるとほどなく雌滝支流の沢源頭、苔

生した岩壁の隙間から幾筋もの水が流れ落ちる標高1650m地点の「小滝」に辿る。飛沫が跳ねる湿地

にはダイモンジソウが白い小さな花を付けて群生している。体力と時間に余裕があったら、急登の

針葉樹林帯やササ地を越えて美ヶ原高原まで足を伸ばしても良いが、昼前後だったら小滝で往路を

下山したほうが無難だろう。

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