中 級 編

トップの姿勢@



最上段の写真
エレベーターの上がりで、よくこのような姿勢を見掛けます。
このような場合、上がってもピタッと止まらず、必ずと言っていいほど不安定で、姿勢を保つのに必死になっています。

これは引き上げでもシメでもありません。

2段目の写真
このように肩を下ろし、首周りをスッキリとさせ、涼しい顔で上がりましょう。
この状態でもしっかりと引き上げが出来ています。
この引き上げの方法はここでは書きませんので考えてみて下さい。

3段目・最下段の写真
HI−Vをする時も同じ事です。
「ガチガチにリキむ」事と「力強さ」を勘違いしないようにしましょう。
3段目と最下段の写真ではどちらの方が伸びやかで大きい表現が出来ていますか?

本番では気持ちが盛り上がり、勢いがついて、
つい力が入ってしまうものです。
ですから、練習の時に正しい姿勢で覚えておいて下さい。

ではAでこれらを全身のバランスで見てみましょう。
トップの姿勢A


ここでは全身の写真で解説します。

上段の写真はご覧のように肩が上がってしまっています。
つい力が入ってしまうと、こうなりがちですが、
このように肩が上がってしまうと、体幹(腹筋)を締めにくくしてしまい、
バランス赤線の▽逆三角形になってしまいます。

非常に不安定です。

それから中段の写真のように背中を反ってしまう事があります。
この状態を「お尻を締めて」解決しようとすると、
お尻に力が入ってしまい、背中の反りが余計に強くなって、
全く逆効果です。

下段の写真のように肩を下ろせば、首周りがスッキリとして、
黄色の太線のように体幹が締まり、バランスは赤線の◇菱形なるので、
非常に安定します。

安定する上に、さらに大きな表現が出来るので、
確実に身につけておきたい基本のテクニックです。

エレベーターに限らず、スタンツ全般に共通します。 
エクステンション
エレベーターの状態からベースの腕が伸びるところまで
トップを持ち上げたスタンツをエクステンションといいます。

このスタンツが出きるようになれば
エレベーターからタイミングを合わせてエクステンションに上げたり、
エレベーターで止めずにセットした状態から一気にエクステンションに
上げたり(オール・ザ・ウェイ)と、バリエーションは広がってきます

このエクステンションが正しく出来なければ
後に行うリバティーやヒールストレッチ等も出来ません。

このエクステンションレベルのスタンツを行うと、
危険度が一気に増してきます
、トップは落下した場合、重傷度は高くなり、
ベースの腰・背中・肩のスポーツ障害発生の確率は高くなります。

必ず、安全な環境と指導者の下で練習を行って、
正しい技術を身につけて下さい。

ベース
トップの両足の高さを揃えましょう。
しっかりとトップを見てください。
トップの足の重心の下に入って下さい。
全身を伸ばしきってしまうと、安定感が弱くなりますので、
「踏ん張る」感じでしっかりと動きを止めて支えましょう。
トップ
背中を反ったり、肩を上げないようにしましょう。
足幅が広がらないようにしましょう。
むやみに顎を上げすぎたり、視線が上がらないようにしましょう。
スポット
できる限りトップの足首を握り、支えましょう。
トップをよく観察しつつ、スタンツ全体を観察しましょう。
身長が足りない場合はベースの手首を持つ方法もあります。
クレードル

ここではクレードル(キャッチ)のトップの姿勢を解説します。

実際はベース2人スポット1人ですが、トップの姿勢がわかりやすいように、ベース1人スポット1人で断面図のようにしてあります。

ベースは全身を使ってトップの落下する力を吸収しなければなりませんが、
トップ自身もキャッチの際にコントロールが必要です。

上段の写真は悪い例です。
※つま先が伸びていない(青線)
※背中を伸ばし気味にしている

主にこれらの理由により、身体がV字(黄線)になってしまいます。
そうすると、体重と落下の力はの方向に掛かるので、
の方向に集中して、ベースに大きな負担が掛かりますし、
トップは地面にお尻から抜けて落ちやすくなってしまいます。

下段の写真は良い例です。
※つま先を斜め前方に伸ばしている
※背中が適度なアーチを作っている
これらの理由で身体がの方向に引っ張られ、
更に全身が締まるので、体重と落下の力はF1〜4に分散されます。

そうするとトップは驚くほど軽くなるので、安全な高さで効率よくクレードルが出来ます。

実際の演技場面では着地やリロードにつなげるので、
少し背中を沈める反動(抜き)を使います。
その時も基本のこの形をマスターしていないと、スタンツのリズムが生まれません。

トランポリンでシートドロップとバックドロップを練習すると、
この背中と脚のコントロールが身につき、あらゆるクレードルに対応出来るようになります。
オール・ザ・ウェイ


乗り込みから一気にエクステンションを上げることを
オール・ザ・ウェイといいます。

実施条件
○安定したエレベーター to エクステンションが出来る事
○安全な環境の下で行うこと。
○初めて行う際は指導者の指示の下で行うこと。

写真1
通常のエレベーターのセットをします。

写真2〜3
トップが2人のベースの手に乗り込んだら、
ベースは膝の屈伸を使い、一気にトップをエクステンションまで上げます。
トップも自ら足幅が広がらないように高い位置まで伸び上がります。

オール・ザ・ウェイに大切な事
○正しい軌道
○ベースの正しいフォーム
○スピード


ベース
決して腕だけで上げようとしてはいけません。
腕だけで上げようとすると、背中を反りながら上げることになってしまいます。
背中を反ってしまうと腕が身体から離れ、余計に持ち上げられなくなるばかりか、その形で覚えてしまうと、背中や腰を痛めてしまいます。
膝の屈伸を使い、足で反動をつけてトップの足を自分の身体に沿って
上げるようにして下さい。
また、終始しっかりとトップを目で追ってください。

トップ
伸び上がるときに肩から上がっていくのではなく、
首を伸ばすように(首の吊り)上がっていきましょう。
ハイVを出すタイミングが早すぎると、上がりきる前に止まってしまいます。
ハイVはエクステンションに上がってからスッと出すようにしましょう。

スポット
トップの腰をしっかりとまっすぐに持ち上げましょう。
持ち上げた流れでスムーズに且つ迅速にトップの足首に持ち替えましょう。
できる限りトップの足首を握り、支えましょう。
トップをよく観察しつつ、スタンツ全体を観察しましょう。
リバティー(トップT)


リバティーは主に次の3要素が大切です。
@姿勢(含視線)A腕の張りB脚の挙げ方

ここでは@Bの関係を見てみましょう。

脚を挙げた形はダンスで言うジャズパッセです。

上段の写真
基本的な動きは、膝をただ挙げるのではなく、つま先を軸足に沿って少しすり上げるようにします。(白の矢印)
膝を目標の高さまで挙げるのではなく、
つま先を軸足の目標の位置(黄の矢印)にもってくるようにします。

そうする事によって、両足のセンターにある重心は軸足側に自然に移動していきます。

中段の写真下段の写真
中段の写真ではつま先を伸ばして上記のように捌いていますが、
下段の写真はつま先が伸びていない為に膝が挙がりにくくなっています。(黄の線)
@それを無理に挙げようとすると
A背中から肩が後方にもっていかれてしまいます。

特にグラウンドアップでこれをやってしまうと
間違いなく後方に倒れていきます。
つま先が伸びていても膝を強く挙げてしまうと後方に倒れてしまいます。 
リバティー(トップU)


次に同じく脚の挙げ方を見てみましょう。

上段の写真のように軸足に沿って上げず、
テキトーにまっすぐ挙げてしまうと(赤の矢印)、
中段の写真の時と同じように重心は両足がついた状態と同じセンターの位置(黄の垂直線)に残ってしまいます。
すると、向かって左側に落ちてしまうでしょう。

トップ本人はこの事に気をつけながら、ベースもトップの脚をただ単に上に放り上げるのではなくて、軸足にやさしく送ってあげましょう。
そして送った流れで軸足を補助しにいきましょう。

そうすることによって
※トップの重心の移動がスムーズになり
※ベースの脚の持ち替えもスムーズになり
リバティーの成功率が上がります。

軸がしっかりしていれば下段の写真のようにいろいろな形が自由に作れるようになり、表現の幅が広がります。 
リバティー(トップV)

リバティーが崩れる原因のひとつに、この腕の張りがあります。

上段の写真は挙げる脚側(右手)の腕の張りが弱くなっています。
もう片側は(左手)しっかり張っているので、当然写真のように傾きます。

脚ばかりに意識がいってしまうと、この手を忘れがちになってしまいます。
正しい方向に腕を張れば、気持ちよく安定します。
しかし、肩が上がらないように注意しましょう。

その日の調子によってバランス感覚は違ってきます。
リバティーの不調を感じたら、このT〜Vをチェックしてみて下さい。 
リバティー(トップW)



T〜Vをスタンツで実際に行うと、このような形になります。

※背中を無駄に反らすことなく
※肩を下げて首周りをすっきりとさせて腕を長く見せます。
※体幹(腹筋)にしっかりと力が入っています。

姿勢が真っ直ぐになり、重心線がメインベースへ垂直に下りています。

この真っ直ぐの姿勢がベースのポップアップの力を100%もらう事が出来、
綺麗で、かつ空中で余裕があるポップアップ・クレードルが可能になるのです。
リバティーの足の上げ方
(トップ&セカンドベース)



エクステンションからリバティーの移行するとき、
ただ足を上げるのではなく、やりやすい方法がいくつかあります。
そのひとつがこの方法です。
ここでは動きが分かりやすいように、靴を脱ぎ、裸足でやっています。


写真1
トップはエクステンションから徐々に軸足に重心を掛けていきます。
軸足に重心が掛かっていくとセカンドベース(写真手前)の手に掛かる
トップの体重が軽くなるので、そうしたら次の動作に移ります。


写真2〜3
一気に足を全部上げるのではなく、このようにカカトからゆっくりと
上げていきましょう。
こうすることによって、軸足の重心が崩れにくくなります。
また、足を上げる時からつま先が伸びる事になるので
つま先の伸びた美しいリバティーになりやすいですね。(写真4
また、上げた足のつま先が伸びていれば、下半身は自然に締まって
くれるので、無理に下半身を固めようとしないで済むという
大きな利点があります。

ベースは、トップがなかなかスムーズに足を上げられない場合でも、
このようにつま先側を支えていれば、カカト側の手は早めに
メインベースの補助に入れます。
スタンドでもトップの手を片手ずつ離していくのと同じで、
片手ずつ次の仕事に移行出来ます。


写真4
リバティー(トップT)に書いてある「つま先の位置」に足を上げることが出来ます。
このような方法でリバティーをすれば、写真のように
○つま先が伸びていて
○下半身(両足)が締まり
○骨盤がゆがみにくい リバティーが出来るでしょう。
リバティーのバリエーション







写真1
リバティー(ストレート・リバティー)
ダンスの「ジャズ・パッセ」です。
形を作るテクニックはこの「ジャズ・パッセ」にかなり共通します。

写真2
トーチ

写真3
ヒール・ストレッチ
いわゆるY字バランスです。

写真4
ボー・アンド・アロー
「弓」と「矢」の形に似ています。

写真5
アラベスク
バレエのテクニックのアラベスクです。
正確に行える選手は少ないですが、とても人気のある形です。

写真6
スコーピオン
読んで字のごとサソリの形に似ています。
新体操やフィギュアスケートでも、柔軟性をアピールするテクニックとして
頻繁に使われるテクニックです。

写真7
スケール



例えばリバティーであれば、
「どう?1本足でも立てるのよ!バランスいいでしょ?」
であったり、ヒールストレッチであれば、
「どう?私は1本足で立てるだけじゃなく、身体も柔らかいのよ!」
といった感じでテクニックを自慢する為に行うといっても過言ではないでしょう。

ですから、身体がカタい人が無理に行っても、
あまり格好の良いものではありません。

しっかりと身体をつくるトレーニングを積みましょう。
バスケットトスの空中姿勢
(ストレートジャンプ)


ここではトランポリンを利用した画像を使用します。

ベースの手を踏み込んだら、
1)素早く伸び上がり、
  (トスの乗り込み参照)
2)手を上に上げて(引き上げて)、
3)身体を真っ直ぐに伸ばして
飛び上がります。


☆大切なこと
やはりトスは高さが醍醐味なので
高さを出す為に必ず手を上に上げて練習して下さい。
手を上げても肩は上げないで下さい。
斜めに倒れ気味になってしまうのは、
この方法で覚えなかった事が大きな原因のひとつです。
伸び上がりと手の上げをタイミング良く合わせましょう。


そして手の上げる位置ですが、画像のように、わずかに斜め前です。
上目遣いで視界に入る位が目安です。
これを本当に真上にしてしまうと安定した姿勢を作りにくくなり、
斜めに倒れてしまいます。

もう一つ、空中でアゴが上がってしまったり、上を向いてしまうと真っ直ぐに上がれません。

もちろんつま先を伸ばしましょう。

画像のようにトランポリンを使った練習は、
正しく練習すれば非常に効果の上がる方法です。
USAのトップクラスの選手を見るとトランポリンで習得したさばき方をしています。
しかし、方法を間違えてしまうと全く効果は期待出来ないので、詳しい指導者に教えてもらいましょう。 
バスケット・トス
(トゥタッチ)






ベースのセットはとても重要です。(別項参照)



トップが行いやすい主な問題点は以下の通りです。

予備跳躍を跳び過ぎない

自分でちゃんと飛び出す

手を挙げて(手で引き上げて)飛び出す

最後までつま先の蹴りを使い、ベースの手を離れていく

挙げた手の位置は頭より後ろに挙げない

空中では肩を下げつま先を伸ばす

タック・トゥタッチ・パイク等は全身で行う
 (足だけを上げようとしない)

空中姿勢を作ったときに下を向いたり頭をむやみに振らない

飛び出しの時の姿勢に戻ってからクレイドルに入る

終始、つま先と視線に細心の注意を払う
バスケットトスのベース編1



トスを上げる為のセットの仕方と方法を解説します。

このトスの方法ですが、
間違って覚えていたり、またそれを平然と教えている人が
とても多いです。

最上段の写真
まず、写真のようにセットの時に組んでる握りを緩くしても
乗り込み〜飛ばしの時に握りは緩くしないで下さい
なぜ緩くしてはいけないかはバスケットトスのベース編2を見て下さい。
「柔らかくする」事と「握りを緩める」事は違います。

☆大切なこと
では何のためのリラックス(柔らかく)と言われるかというと
左右のベースの真中に手が来るようにする為に腕を伸ばした状態でリラックスさせるのです。



2段目の写真
写真では分かりづらいのですが、
力まずにキュッとシメルのです。

間違ってはいけないのは「力んでガチガチ」にしないことです。
つまりガチガチというのは
「関節を固めきってしまう」事です。
ですので、手首を固め過ぎたり、肘を伸ばしきらないで、
1番力が入り、トップの踏み込みを押し返せる形を見つけて下さい。

トップの乗り込みを受けて、飛ばすという事になりますが
動きとしては、まず乗り込みを吸収してはいけません。
筋肉の「エネルギー保存」という性質により、乗り込みを吸収してしまうと反動を利用して飛ばすという事が出来なくなります。
反動がキーワードです。
トランポリンのバネになってあげましょう。

乗り込みを受けて、トップを飛ばす腕の筋肉を支えるのは背筋や腹筋で、さらにそれを支えるのは下半身になります。

※握りを緩めてしまうと結局、腕・上半身・下半身がそれぞれ連動せず、バラバラになってしまいます。

身近にある何か少し重い物を持ってみましょう。
例えば重いバッグを持ち上げる時にどのように身体を使っているでしょうか?

写真A1〜A2のように下に絞るように握りましょう。
A1よりもA2の方が全身がバランス良く締まって、安定しているのがわかりますか?
写真A1ではトップが乗り込んできた時に腕に負担が掛かりすぎて
下半身が使えなくなり、二人が真中に引っ張られてしまいます。

下に絞って効率よく力を使う・・・・・
そのイメージは動きの研究室「トスのヒント」を見てみましょう。 
バスケットトスのベース編2




よくバスケットトスをする時に、
ベースは手の握りを緩くして
ただ手を掛けているだけにしなさい・・・
と指導される事がありますが、
これは好ましくありません。

握りが緩いとなぜ好ましくないか・・・

@手首を痛めやすい
A手の甲に擦り傷を作りやすい
B力を入れるタイミングが遅れる
C下半身のバネを使えない(腕だけトスになる)
D腕の筋肉を有効に使えない
E最後までトップを押せない


最上段の写真
黄色の矢印のように2人の「手の甲という地面」を
下から上までバネのように動かさなければなりません。
最後まで押し切らなければなりません。

2段目の写真
握りを緩くして、トップの乗り込みと同時に力を入れるやり方では
この写真のように途中でバネが止まってしまいます。
矢印の範囲でしか力が発揮出来ません。

何故かというと、手首の動きは
3段目の写真
左から右のような動きをするから、上まで確実にトップを押し上げる事が出来、
右の写真の矢印のように、自然に手首が返り、
自然にトップを飛ばしきった延長でキャッチの準備に入れます。
トスの練習の前に一生懸命「手をパッと開く」練習を見掛けますが、
開く事が重要なのではないので、押し切った延長で自然にキャッチの準備に入りましょう。

4段目の写真
し・か・し、手首を緩めておく方法だと、
本来なら高い所で作られるべき手首の形が、
写真のように早いうちにこの形になってしまいます。

確かにトップの乗り込み〜立ち上がり始めのバネは感じます。
しかし、これに騙されてはいけません。
高く確実に飛ばせないばかりか、手首を間違いなく痛めます。
当スタッフが実験をしたところ、2〜3回で手首と肘の間(尺側総指屈筋)を痛めました。
そして肩の筋肉(三角筋)に物凄く負担が掛かります。
何も負荷が掛かっていない状態で急激に筋肉に力を入れるのであれば大丈夫ですが、
負荷が掛かっているところに急激に筋肉に力を入れようとすると筋肉を傷める危険性が高くなります。

重いチアバッグを持ち上げる時に脱力状態から一気に持ち上げますか?
ちょっとテンションを掛けたところから持ち上げるし、
また友達を「おんぶ」する時に少し力を入れて構えてるでしょ?

そうやって自然と力が入りやすいように、また身体を守ろうとしているのです。
なのに何故トスする時に限って、それに反するのでしょう?

バックフリップ等をする時は特に、トップとしては最後まで蹴り切りたいのです。
意外にこの「最後までの蹴り」を知らない(経験した事がない)人が多いのです。

最下段の写真
ブレていて分かりにくいのですが、写真の矢印の部分をよく見てください。
ベースは最後までトップを押し切るように伸びています。
トスにはこれが必要なのです。
バスケットトスのベース編3
アメリカの選手の写真です。
わかりづらいでしょうが、しっかりと握って組んでいます。
しっかりと組んでいるので下段の写真のように手の上に立つことが出来ます。

ある程度の力で握る事によって手首は締まるので手首を痛めにくく、
トップが乗り込んできた時の手の甲の擦り傷が減ります。
なぜなら上まで押し上げる事が出来るので、あまり皮膚が靴底に擦れません。
バスケットトスの乗り込み
(トップ)


ベースの手への「乗り込み〜飛び出し」で
そのトスのほとんどが決まってしまいます。

よくドリルの姿勢で長時間キープしたり、手で強く押す為に
腕力を鍛えている人を見掛けますが、大切なのは力ではなく
タイミング良く押す事なのであまり意味がありません。

実際に手で押す時間は一瞬ですし、
乗り込みのサポート
姿勢のバランスを取る
上半身の伸び上がり(スピード・方向)をサポートする
こららの為にベースの肩を持ちます。

トップはベースの人に乗り込みやすい高さに構えてもらうようにしましょう。
高からず、低からず。
上段の写真では高すぎます

高すぎると、乗り込んだ時に腰が落ちたり膝が深く曲がってしまいます。(中段の写真
そうすると青の矢印のように、肩が落ちてしまうので、
手の押しも出来なくなってしまいます。

また、腰を落とさずに乗り込めたとしても、下段の写真のように、必要以上に前のめりになって、
上に伸びていけなくなります。
2&HALFのトスアップでも、前に突っ込みがちで
真上に上がれない時は、結構この状態の時があります。

和式便所と洋式便所ではどちらが早く確実安定して立ち上がれますか?
これがヒントです。

そして予備ジャンプは小さめにしましょう。
筋肉の性質上、予備ジャンプを小さめにしておかないとスムーズな乗り込み〜飛び出しが出来ません。 
ショルダーストラドル→ショルダースタンド
●失敗例
※脇を空けて、肘を曲げて腕力で上がろうとしたり
※肩が上がってしまったり
してしまうと何もかも上手くいかなくなってしまいます。


成功例
トップは肩を下ろし、脇を締めて、肘を曲げずに、ベースの手を押し返します。
ベースは下半身を使い、下からまっすぐトップを押し上げます。
肩で押し上げてはいけません。
肩が上がると腕を使えなくなります。

このスタンツも力ではなくタイミングです。
フルツイスト・クレードル






実施条件
○浮きのある高いポップアップクレードルが確実に出来ること。
○安全な環境の下で行うこと。
○初めて行う際は指導者の指示の下で行うこと。
○実施前にどうやってひねりをかけるか地面で練習しておくこと。

↑これらを必ず守ってください。


写真1
エレベーターの状態でしっかりと足を下方向に張っておきます
(いわゆるロックなのですが、膝をガチガチに伸ばしきって
 固める事ではありません。)

写真2
トップはダウンしてもブレないように体幹を安定させます。

写真3
トップはそのままアップの力(矢印の方向への力)を利用します。
首で引き上げましょう。
この時「肩が上がる」「背中が反る」はNGです。
肩が上がると体幹が緩みます。
背中を反るとポップアップの力がトップの身体に伝わりません。

写真4
トップの視線は青い線の方向です。
肩越しにスポットの人をしっかり見にいきましょう。
見るだけで良いです。
写真4−2を参照して下さい。ひねる方向は反対の左にひねっていますが、
しっかりと視線をとっています。

スポットを見るタイミングは、
アップと同時というよりも、写真の「 UP, 」の「 , 」のタイミングです。
つまり上方向への推進力がないとひねりの効率が悪くなり、
身体がブレて、姿勢が崩れます。

また、身体全体や肩で大きくひねりをかけてしまうと、
ひねりが崩れやすくなります。
もし、肩でさばくとしたら、
右ひねりなら右肩、左ひねりなら左肩を引いてひねりましょう。
ただし、この肩の引きによるひねりは、1回ひねりではあまりおすすめしません。
ひねりの回数を増やすときにやり辛くなります。

スポットとベースは少しひねりをかけてあげます。

写真5
トップはかなりずっとスポットを見続けています。
「視線の安定は姿勢の安定」です。
できればこの「きをつけ」の姿勢でつま先を伸ばしましょう。
つま先を伸ばさないと軸が完全に1本になりません。
そして、ここでは右方向(時計回り)に捻っているので、
左手」を体側にしっかりと押し付けておきます。←大切

写真6
トップはそのままをキープしていれば自然にクレードルになります。
出来れば最後までつま先を伸ばしておきましょう。
つま先が緩むとキャッチの衝撃が大きくなり、
次への展開がいきにくくなります。

☆ポイント
トップはひねるタイミングを少し遅めに覚えておきましょう。
1回ひねりを少し遅めで覚えておけば、
2回ひねりを行おうとする際に、ひねるタイミングを早くすることによって
ひねる回数を増やすことが可能になってくるのです。
フルツイスト・クレードルの失敗例






フルツイスト・クレードルがうまくいかない場合、
原因はほとんど限られています。
ただし、正しい方法で習得した場合に限ります

主な原因
@トップがポップアップされるのを待たずに
 自分で強引にひねり始めてしまう場合
Aトップがひねるときに頭を倒してしまう場合
Bトップの視線が正しくない場合
Cベースとスポットがトップにひねりを正しく掛けない場合


写真1〜2
ベースとスポットのタイミングさえ合っていれば
ここでの動作での失敗はほとんどないでしょう。
トップは肩が上がっていたり体幹が緩んだ場合は
崩れやすくなります。


写真3

問題はたいていここで発生します。
上記の@〜Bがこれです。
トップがベースにアップされる前にこのように動き始めてしまうと、
頭が軸から外れてしまいます。(ピンク色の線で表示

頭が軸から外れてしまうもう一つの原因は、
「視線」で、後ろの下の位置を見にいく際に肩越しではなく、
「わきの下」から見てしまったり、「見る位置がずれた」場合に
失敗します。
トップはそのままアップの力を利用しなければならないのですが、
ポップアップの力を姿勢が崩れる力に利用してしまうことになります。
それが写真4です。

写真4
頭が軸から外れてしまったので、、
頭が倒れた方向に力が掛かっていきます。


どんなスポーツでも、
運動の動作において、また姿勢保持において「頭の位置」
とても重要です。頭の位置は視線の位置にもつながり、
姿勢のコントロールにつながります。
それが写真5です。

写真5
頭がAの方向に向いている為、下半身はAの反対のの方向に向きます。
下のポップアップの力が「A←身体→a」に作用するのです。

仮に頭がここでの写真とは違う方向に向いたとしたら、
下半身はその頭の方向と反対の方向に向くでしょう。
「犬が西向きゃ、尾は東」ということです。

写真6
そうなるとトップはそこからクレードルの形に入ろうとするので、
この写真のように腰を深く折った状態で下りていくことになります。
と、いうことは最終的にクレードルになった時にも
写真7のように腰が深く折れ曲がった状態のキャッチになってしまいます。
写真の矢印の方向に足が上がっていくので、
腰や上半身が強く落ちてくることになります。
キャッチがゆるいと、とても危険です。

もう一つ、身体が折れ曲がってしまう原因は、
ツイストの後半にクレイドルの姿勢を作りにいってしまう事です。
ツイスト中に下が見えたからといって、早いタイミングで身体を折ってクレイドルの姿勢を作ると、腰が軸から外れた瞬間に大きなブレが生まれ、一気に姿勢が崩れます。
むしろ最後までまっすぐの姿勢をとっておいたほうが安定したクレイドルの姿勢に入れます。

写真5〜7
ここでは写真5の時には正しい視線になっていて、
下をしっかりと見ることが出来ているので、最終的にクレードルキャッチに
なっていますが、もし、視線が定まっていなかったり、
クレードルキャッチの姿勢にもっていくコントロール能力が
低い選手の場合は、もっと崩れて落ちていくことになります。

その際にベース・スポットがしっかりとフォローに入らなければ
間違いなく大きな落下につながり、とても危険です。

ですのでフルツイスト・クレードルを練習する際は
実施条件
○浮きのある高いポップアップクレードルが確実に出来ること。
○安全な環境の下で行うこと。
○初めて行う際は指導者の指示の下で行うこと。
○実施前にどうやってひねりをかけるか地面で練習しておくこと。

↑これらを必ず守ってください。
アシスト フロント タック ディスマウント







実施条件
○浮きのある高いポップアップクレードルが確実に出来ること。
○安全な環境の下で行うこと。
 特に着地地点にエバーマットを置くなどのセッティング。
○初めて行う際は指導者の指示の下で行うこと。
○実施前に床で「トップはベースと手をつないだまま前転」
 をしてみること。

↑これらを必ず守ってください。


写真1
エレベーターの状態からベースとトップは手をつなぎ、
one,twoのカウントで準備に入ります。
ベースは肘を「伸ばしきる」というより「トップを支える役割がある」
という事を認識しておきましょう。
結果的には肘は内側にひねりながら(内旋)少し曲がります。
そのほうが伸ばし切るよりコントロールが効きます。


写真2
downでポップアップの反動をつけます。


写真3
upでポップアップします。
トップはポップに合わせて顎を引いて回転に入ります。


写真4
トップは顎を引き背中を丸め膝を曲げて丸くなります
そして若干、自ら回転力をつけます。


写真4〜5
この高さで回りきるつもりで回転します。
鉄棒の「前まわり降り」の感覚です。
この時、ベースはトップの高さが変わらないように
支持している手の高さを変えないようにします。


写真5
ベースはこのくらいの早い段階からトップの腕を迎えにいき、
支持しにいく動作に入ります。
トップをよく見ておきましょう。


写真6
トップは回転をしながら着地地点を見にいきます。
これを「着地をとりにいく」といいます。
前方系の回転が後方系の回転よりも難しい理由は
着地がとりにくい(見えにくい)からです。
ベースは出来るだけ早くトップの腕を支えにいきます。(赤丸


写真7
トップは膝を柔軟に使い、静かに着地します。
ベースも柔らかにトップの着地を助けます。


写真8
フィニッシュ
ダブルベースショルダースタンド
(ステップアップ)





写真1
トップ
まずベース1のサイドサイの上に足を掛けます。
当然、出来るだけ足の付け根に乗りましょう。
ベース
1人のベース(ここではベース1)はサイドサイの形をとり、
もう1人のベース(ベース2)は腕を「ほどよい高さ」にセットしてアームスタンドの準備をします。
ここでいう程好い多さというのは自分が安定しつつ、
トップを支えやすい高さです。
また、両ベースはトップを支持する腕の高さを高くしてはいけません。
高すぎず、狭すぎず、ゆるすぎず。
無意味に肘を伸ばしきらないようにしましょう。

写真2
トップ
次にベース2の腕に足を掛けていきますが、
セットしている腕の先の方に乗るのではなく、
カカトが肘関節に深く入るように乗ります。
腕に乗るというより、胴体の一部に足を掛ける感覚です。
ベース
ベース2はトップが足を掛けてくる腕が身体から離れないように
肘を引き気味にして、脇をしっかりと閉めておきます。

写真3
トップ
ベース1の肩に乗り込みます。
ショルダースタンドで乗る位置に乗り込まないと安定しにくくなります。
ベース
ベース1はトップの足が肩に乗り込んでくるときに、
乗り位置をトップに任せっきりにせず、
トップの足を自分にとって都合の良い位置に持ってきましょう。

写真4
トップ
次にベース2の肩に足を乗せていきます。
肩という部位は非常に安定しにくい部位な上に2人の形の違う肩に立つので、乗り込みの時点からしっかり安定しやすい位置に乗り込みましょう。
ベース
2人のベースの肩の高さを揃えつつ、足元を安定させましょう。
この後に、トップとつないでいる手を離しますが、
安定するまで、または、指示が出るまではしっかりと腕でも支えておきます。

写真5−1
トップ
ベースとつないでいた手を離しますが、
慣れないうちは一気に両手を離してはいけません。
また、慣れている人もあまり勢い良く、又は激しく手を離してしまうと
揺れたり崩れる原因になるので、スムーズに手を離しましょう。
ベース
トップの手が離れたら、すぐに両手でトップを支えますが、
この形にとらわれず、写真5−2のような支え方をしても構いません。
やりやすく、安全であれば色々な方法が考えられます。
写真5−2の支え方であれば、ベースも外側の手でハイVが出来ますし、アルゾフ(ピラミッドの項参照)のようなピラミッドを作る際に外側の手が容易に動かせます。
スポット
スポットは終始トップを支え続けなくてはいけません。
動きの特性上、不安定な状態の連続なので気を抜かないようにしましょう。


トップは階段を上っていくように2人のベースを上っていきますが、
気をつけなければならないのは、上っていくリズムです。
遅すぎても、早すぎても、力ずくでも、激しすぎてもいけません。
Down-up,Down-up,・・・などのテンポのよいリズムで出来るようにしましょう。

また、まるっきり正面を向きすぎていてもいけません。
スタンツにおいて下を見てはいけないと言われる事がたくさんありますが、
「頭を下げて下を見てしまうとバランスを崩して落下しやすい」
ということです。
なので下を見てはいけないというより、頭を下げてはいけないと解釈できます。

足を乗せる位置を眼で確認しないと、ベースにとってもトップにとっても
危険な状況がたくさん出てきます。
良い位置に、良い力加減で乗るには目視することが必要なので、
いわゆる「チラ見」をしなくてはなりません。

エレベーターでもトスでも乗り込むベースの手を全く見ない人がいます。
見たとしても視線を離すのが早い人もたくさんいます。
勿論、ベースも乗り込んでくるトップの足を見ておきましょう。
(間違ってもベース同士で見つめ合うなんて事のないように・・・)
チェア−






連続写真のようにシングルベースでトスアップからの
チェア−(トス トゥ チェア−)は、
女性同士ではとても難しいので、女性同士で行う場合は、
最下段の写真のようにベースが二人の形で行うと比較的やりやすくなります。

チェア−の形を作る上で一番大切なことは、
ベースはしっかりと腕を伸ばし、
トップとベースの重心線が垂直線上に一本になることです。
トス トゥ チェア−




トス トゥ チェア−の流れは中級編「チェア−」の項の
正面から見た連続写真を参考にして下さい。

ここでは、その中でも注意しなくてはいけない事を解説します。

写真1
トップは飛び上がる時に、この位まで深めにしゃがみ、
高く飛び上がるエネルギーを蓄えましょう。
このしゃがむ深さはトップの跳躍力やベースの力にもよりますが、
浅すぎると高いトスアップが望めません。
(力に任せて行えば高く上がらない事はありませんが、効率が悪くなります)

写真2〜3
トップは矢印の方向に向かって飛び上がります。
この方向に上がらずに真上に上がってしまうと、トップの身体が反ってしまい、
のトップのカカトがベースの下半身や腹部を蹴ってしまいます。
(これ、結構痛いです・・・)

ベースはトップの「腰を真上に上げる」というよりも、「骨盤を飛ばし上げる」ような感覚です。トップが少し後方に(ベース側に)飛び上がってきますので、押し返すように飛ばし上げます。

この時トップは、ベースの手首をしっかり握り、自身の身体を持ち上げるように
ベースの手首を押し下げます。

写真4
トップはのようにベースの手首から自然に手が離れるまで最後まで押し切ります。

写真5
この写真ではまだトップの重心の下に入りきっていませんが、
最終的にはトップを支持している側(ここでは右)の肩を耳に付けるようにした時に
とても楽に支えられる場所がありますので、そこを探しましょう。
そして支えるというよりも「押し上げ」ましょう。
ポップアップのテクニック
(ベース)





エレベーターやエクステンションでのディスマウントのテクニックのひとつであるポップアップは、
スタンツに変化や華やかさを加え、演技構成に大変重要なテクニックのひとつです。

ポップアップの時に、各ポジションにそれぞれ行うべき事がありますが、
ここではベースについて解説します。

上手く出来ない原因
○トップを観察していない
○トップを支持している腕が安定していない
○腕のみで押し出そうとして、全身を効率よく使えていない
○押し出し(ポップ)のポイントが低い
○ポップアップではなくプレスアップになってしまっている。
○ダウンがゆっくりであったり、深すぎる。

例えば、エレベーターからポップアップクレードルをする時に、
「エクステンションをするように押し上げる」
という表現を使うことがありますが、勘違いをしてはいけません。
本当にエクステンションを上げるようにしている人がいますが、
あくまでも、プレスアップではなく、ポップアップなのです。
しっかりとポップアップして、トップを追うように腕を上まで送れば、
そのまま高い位置でトップをキャッチし始められるので、
そのような表現になるのです。(写真1〜2

これは、いわゆるフォロースルーであり、
球技では一般的かつ重要なテクニックです。

写真は押し出し(ポップ)のポイントの写真です。

エクステンションで見てみましょう。
写真3はエクステンションで固定させるラインです。
このラインを基準に動きます。

写真4
ダウンが大きかったり、体がブレた場合に起こるケースです。
固定ラインよりも下のポイントでポップしてしまっています。

写真5
腕のみで押し出そうとして、全身を効率よく使えていないケースです。
悪くはないのですが、固定ラインと同じ高さでポップしている為、
トップが高く上がりにくくなります。
上がりにくいという事は、ツイストをしたり開脚をしたり、応用がきかなくなります。

写真6
全身を効率よく使い、しっかりとポップアップできている状態です。
固定ラインより高いポイントでポップしています。
写真を見て判るようにこのテクニックはスポットにも同じ事が言えます。

基準となる固定ラインより上でポップする事を意識しましょう。
このテクニックが出来るようになるためには、体幹の筋力が必要不可欠です。
勿論、トップの姿勢やその他の条件は必要ですが、
正しいフォームと基礎体力があれば、容易に身につけることができるでしょう。