★安全性の確保
コーチとして、役割の一つに、安全性の確保があります。

これは常に、考えていなければなりません。チアリーディングの練習時には、これは、コーチとして、責任の最重要項目の一つです。また、コーチはプレイヤーに対し、ケガから自身を守る技術も教えなければいけません。スポット技術はチアリーディングにおいて安全性確保の鍵になります。スポット教習等においては、「人は落下物に対して逃げる本能がある。」と人間の本能の話がされ、だから「注意が必要である。スポットは難しい。」となりますが、これは通常の生活においてであり、スポットという役割を担っているチアリーダーはまず、逃げることはないでしょう。これは、サッカーのゴールキーパーは、ボールをよけると言っているようなものです。しかし、誤解しないでいただきたいのは、こうした責任を担えるスポットを作り上げていくのは、コーチの責任であり、キャプテンや選手ではありません。(ただし、選手の協力、認識は不可欠です。)とにかく練習してください、フライヤー(トップ)とスポット、ベースの信頼関係を深める安全対策向上のための、技術練習をしてください。

 ☆安全対策練習のために

 基本的な練習時の規則

スポットは常にフライヤーを注視していること。

スポットはフライヤーに常に触れているか、フライヤーのために腕を、拡げていること。スポットは、フライヤーがどのような方法で、落下しても対処できるよう、常に傍にいること。 

1 最初の練習

 スタンツグループに選手を分け、フライヤーの脇に2人、後ろに1人立たせます。フライヤーは、ゆっくりとT字に体を後ろのスポットに倒れてゆきます。サイドの2人は、そのフライヤーを注視します。スポットは、フライヤーの脇の下に手を入れ、確保しますが、その時、腕を上部に持ち上げるよう確保します。

上記が、確実にできた時点で、次は、サイスタンドから、フライヤーはスポットに対し、フォールバックします。この段階を、確実にすれば、次への大きなステップになりますので、あせらず、ゆっくりと確実に練習してください。

より高いレベルに

フライヤーは、ショルダースタンドの体勢か舞台がある体育館であれば、舞台の最前(このとき、靴の底、約後ろ半分は舞台外に位置します。)に立ちます。この際、フライヤーは体の引き締めを忘れずに。次に、その後部に両サイド下にベース、真後ろ下にスポット(サードベース)1人が位置します。

準備ができたら、ベース、スポットはフライヤーが足を中心点として、頭から落ちてきた場合のキャッチの位置を目測し、位置を調整した後、フライヤーに合図をします。(フライヤーは、絶対、後ろを振り向いてはいけません。)

合図があったら、フライヤーは、落下の合図を周りに聞こえるようにし、ゆっくりと、体を引き締めたまま、T字で落下します。

ベースは、両手を上部に広げ、なるべく上部でフライヤーをサイドから膝下、背中を確保します。

サードベースは、同じく両手を上部に拡げ、フライヤーの脇を確保しますが、これもより高い位置で確保してください。確保できたら、上部に持ち上げる感覚(引っかける。)で、フライヤーの衝撃を和らげてください。

この練習を、繰り返し行ってください。

このレベルでは、まだ、スポットは、フライヤーの後部に接していますので、フライヤーに手を触れることができるので、危険と感じたら、後方から確実に手を出して確保してください。(ハンズオン)また、スポットはこのとき、フライヤーが確実に体を引き締めているか確認してください。

また、できるならば、皆にすべてのポジションを試みさせてください。 

次へ
上記2の練習が確実に終了したら、次は、さらに高所からの、落下を練習してください。(高さは徐々に上げること。この場合、ベースは使わず、跳び箱等の用具を使用することが望ましい。)

スクウェアスポティング

高度の位置でのスタンツを練習する場合、チーム内である程度の人員がいる場合、安全を確保するために、スタンツチーム以外の人員をスタンツの四方に配置することにより、より安全性が確保できます。

四方にいる人員は、それぞれ各自の安全対策範囲を持っており、その範囲内であれば確実にフライヤーの落下に対し、確保するようにします。必ず、スタンツ後角に位置し、状況を見て、フライヤーだけでなく、ベースの確保や支持も行います。

こうした、スポットのより、フライヤーに万が一、落下があったとしても、キャッチしてくれるとの確信を持たせることにより、より高度な技を練習できるようになります。なお、落下に至った場合、フライヤーは絶対、落下しながら、何らかの技を試みてはなりません。スポッターに危険が及びます。

スタンツ練習の進行

スタンツの練習中、コーチは2つの点に関し特に注視して見る必要があります。それはスタンツ全体とディスマウントです。スタンツの完成には、このスタンツの完成時と降りがいかに、スムースに安全に確実にできるかによって、技の完成度が決定します。ですから、この動きをスタンツチームに記憶させることは、コーチにとって非常に重要な役割になります。技を完成させるためには、適切な指導と適切な身体能力、安全性確保のための基礎的な訓練、バランス並びに適切な位置取りが必要になります。

ですから、基礎的な訓練は、日常から繰り返し実施することが、必要です。 

そこで、コーチは、各チアリーダーの適切な能力レベルを評価し決定し、何が各自に必要か基準を定める必要があること。これを実施するためにプログラムチャートを作成すること。これが大切です。 

スポットのための基礎的な規則

スタンツ中は、コーチあるいは全体を見渡せる後部スポッター(サードスポッター)以外、話をしてはいけません。サードスポッターは、スタンツ全体を見渡し、スタンツをコントロールしますので、最も重要な人物です。

サードスポッターは、スタンツにおいてスタート等のタイミングにおいての声を出します。ですから、サードスポッターは、そのスタンツにおいて、最も何をすべきか知っていなければなりません。そして、誰でも、同じタイミングでスタンツができるようにしなければなりません。

 また、スタンツチーム誰でも、実施するスタンツにおいて、各自その位置にいて、どういった動きをするのか、知っていなければなりません。また、その重要性を、理解していなければいけません。 

●フライヤー(トップ、クライマー、パートナー)

フライヤーは、落下の方法を知っていなければなりません。

スタンツ中は、体をシメ、足と上部のタイミングがバラバラであってはいけません。フライヤーの主要なドリルはステップとロックです。

フライヤーは、どこに足を置き、手をついてどんな体勢からクライムし、バランスをとるか知っていなければいけません。

フライヤーは、両腕で自身の体を保持できなければいけません。それは、両脇のベースの肩に手を置き、地面に足をつけなくても自身の体を安定して保持すると言うことです。

これは、スタンツを行う上で非常に重要なドリルの一つです。

サードスポットは、フライヤーのウエストを持ちます。後ろの監視人は飛ぶもののウエストの上に彼女の手を持っています。そして、フライヤーが上部空中にジャンプしたとき、この足首付近を確保し、フライヤーの腕にかかっていた体重を分配するとともに、バランスを確保します。

スタンツの技術が上がるに従い、フライヤーは体のシメを確実に行えるようにマスターすることが必要です。肩と腰を正方形になるように常に注意しているべきです。これが、落下を防止する、一つの方法になります。 

●ベース (グランド、セカンド)

ベースは、フライヤーのフックの方法を理解していることが必要です。

ベースは、フライヤーの肩幅以上に離れて位置してはいけません。

ベースは、安定とバランスの維持のため、腰のコントロールを行う必要があります。

ベースは、膝を曲げて、足首、足指にフライヤーの体重を分配し安定したベースを心がける。

フライヤーが手を離し、上部に移動する時、ベースは前に倒れてはいけません。

ベースのドリルは、はじめ、フライヤー無しでスタンツの一連の動きを行い、流れを確認した後、フライヤーを含めスタンツを実施します。そのスタンツ実施も、はじめはフライヤーの手を足として、リハーサルを行います。その時、フライヤーはしっかりとベースの手を押すことが大切です。 

 注)スタンツ練習には必ず、観察者(スポッター)をつけましょう。また、正しいコーチングを受けながら、実施して下さい。なお、スポーツには多くの練習方法があり、指導方法も数多くあります。その中から、一番自分にあった正しい方法を取り入れ練習することが大切ですので、本文は絶対ではありません。参考程度にお読みください。

   阿部