★チアリーディングにおけるマットの問題

もっとも基本的な質問に「いつ、マットを使用すればいいですか。」という質問があります。

確かにチアリーディングはサイドラインやスタンツなど多くの要素で構成されており、全てにマットが必要というわけではありません。

これは、基本的にチームの責任者が負うべき問題であり、その判断がチームの安全性の確保に重要な要素になります。
責任者は、技術的レベルや構成、練習内容を総合的に判断してマットの使用に関し責任を負います。
これはチームに対しての安全を負うという事にもつながります。
大抵、面倒だからの理由でマットを使用しないコーチが実際にいますが、本来であれば、その時点で安全性の確保という面において失格であり、まずそういったコーチは同じ間違いを繰り返します。これは経験から間違いありません。

チアをつとめる場合、スポッターと乾いた軟らかな地面(芝生など)が最適なものになりますが、確かに、エレベーターなど基本的な技術はマットなしでも完成できる技量を持ったチームがあるかもしれませんし、そういったチームではエレベーターに関してはマットは必要無いかもしれません。
しかし、スタンツに関しそのような技量を持ったチームはより高度な技にエレベーターから移行する可能性が高いはずです。
その場合は、導入部においては、マットの必要性はないかもしれませんが、スタンツプログラムの中ではマットは必要不可欠なものになります。
同時にスポッターの存在が不可欠になります。

こういった、安全対策がより高度な技への移行とフライヤーへの危険度の軽減を可能にします。

運動競技においては、練習中にけがをすることの確率が非常に高くなります。
これは疲労、集中力の低下および新しい技・技術の開発等の要因により起こります。
練習の目的は試合の準備です。
したがって、練習は本質的にチアリーダーが新しい技術を試みる場所ですから、必要な場合は常にマットを準備できる体制になっている事が重要です。

マット使用の別の意味での重要な要素はチアリーディング技術の進歩にあります。
本体であれば、マットなしの演技でも完璧に演技ができる状態が理想ですが、危険度の高い技ほど、精神的に完璧にできるといった気持ちになれない事が大半です。
この完璧とはチーム員全て、そう考えていなければなり得ない事であり、一人でも違った気持ちでいれば、それはもう完璧ではなくなってしまいます。
ですから、技術的な向上(より困難な技)からのマット重要性も高いのです。

最後に、マットは安全対策の面から非常に有益なものであり、選手をけがから守るためには必ず必要なものです。
しかし、注意していただきたいのは、マットとて万能ではなく、マットとともに顧問、コーチの安全性への認識がもっとも重要なものなのです。
責任のあるアドバイザーが安全対策について十分認識し練習させる事は、大切な選手をけがから守るために必ず必要であり、それができないコーチはアドバイザーが解任すべきです。
それほど選手に対しての安全確保は重要なのです。
また、そういったコーチは、必ず同じ間違いをおかしますので、解任できない場合は、アドバイザーは注意していなければいけません。いくら技術があっても、チーム員に対しての安全対策は愛情の一つですので、それが無いコーチはチームにとって危険です。

余談ですが、マットでは捻挫、引っ張るタイプのけがには一般的に役に立たない事を覚えておいて下さい。

(一つの考え方を示しました。状況に応じ多くの考え方があることは否定しませんし、けがは無くなる事はない事は承知です。しかし、けがの軽減のための安全対策のできないチームはチアリーディングチームとして失格である事は間違いないと思います。 阿部)