★ エレベータの解説 

●エレベータのはじめ

エレベータ(以下エレ)はパートナースタンツを含んだチアリーディングにおいて基礎となるスタンツの一つです。多くのスタンツがこのエレから移行した技につながっていきます。このスタンツはまた、スタンツを含んだチアリーディングができるかできないかの基盤となります。

 

これはチアリーダーとして少女から女性へ(少年から男性へ)といった境目となると考えられられています。そこで今回は、この基礎的スタンツの方法を解説いたします。常に言っていますが、練習方法は数多くありますのでその一つとして読んでください。

 

 

また、練習にあたっては知識のあるコーチとともに練習をおこなってください。当然、安全対策は忘れないよう。また、スタンツ練習ではサポーターなど手首等の保護をする等して練習を行いましょう。

 

エレでは特に手首をいたける可能性が高いので注意してください。簡単なようで、奥が深いスタンツです。全ての基礎の一つと考えても間違いありません。

 

 

エレの練習のはじめは、まず肩幅に足を拡げ、ホールディングする位置にもう一人のベースと手の位置ををあわせ、お互いに十分、近づいて立ちます。

 

そこから、靴の先を見て、靴の先が膝(ひざ)で見えなくなる位置くらいに膝を曲げます。ただし、靴の先を見るために背中を曲げてはいけません。背中をしっかり伸ばし、少し下を見る感じの姿勢を保ちましょう。はじめはこの姿勢になれていないので、大変でしょうが、効率よく力をフライヤーに伝えるためには、必要な姿勢ですので、しっかり覚えましょう。

 

また、肘(ひじ)はなるべく体の側に置きます。これは、素早く、安定してフライヤーをポップするために重要なことですので、このポイントも覚えておいてください。

 

 

 

 

●やってはいけないこと

 

エレにおいて、ベースがやってはいけないことを記載します。まず、ベース同士が、離れすぎて立ってはいけません。

 

これはフライヤーの乗り込みに支障をきたすだけではなく、ポップアップする時に、フライヤーの足を引き離してしまいます。

 

そのため、フライヤーは足の位置を変えなくてはいけなくなり、ベースも引きずられてしまいます。 また、手の位置ですが、前にも、記載しましたが腕を前に出しすぎると、力が上手く伝わりません。

 

また、手首のけがにもつながりますので、腕はまるべく体の近くにセットしてください。極端に言えば、腕を体の前に出す必要はありません。

 

手だけ前に出し、幅が広いと感じる場合は、ベース同士近づいて幅を狭めましょう。また、いろいろなセットの方法がありますが、できれば腕の角度は90度ではなく、少し角度を拡げましょう。

 

これは、それぞれのコーチングの仕方にも拠りますが、はじめから腕の角度が90度の場合と少し角度を拡げた場合では、少し拡げた方が、フライヤーへの力の伝達が後者の方が力が入れやすくなります。ものを持ち上げるとき、腕をはじめから90度にした場合と角度をひろげて(腕を少し伸ばして)持ち上げる場合では、後者の方が力が入れやすいことからもわかるかと思います。しかし、先にも記載しましたが、セットのやり方はそれぞれですので、研究してみてください。

 

ベースの体制が整ったら、次に、ベースの手をフライヤーは下に押してみてください。ベースはその手を、下に落とさないよう、力を入れセットした位置を変えないようにしてください。

 

フライヤーは手を添えるだけでなく、しっかりとベースの手に力を加えてください。ベースの手が下がってしまうと、フライヤーをアップするとき、まっすぐに上げることができなくなりますので、十分注意してください。

また、ベースはお互いの手の位置、手の下がり具合等、タイミングを十分合わせるように注意してください。また、手の位置が定まらないときは、手で調整するのではなく、足の広げ方で調整してください。

 

ポジションの確認ができたら、次は実際にフライヤーはベースの手にセカンドベースの補助を受けて乗り込みます。

 

このタイミングもについても大切ですが、別項目で解説します。乗り込みはベースのサイドからではなく、なるべく上から乗り込むようにしましょう。

サイドから入るとベースの手が動いてしまう可能性があります。また、ベースはフライヤーの靴が手に入ったら、しっかりとサイドからホールドします。

 

肩までのエレの場合は、ここから上部にアップしますので、フライヤーは、ベースの肩に手を置きアップされる際はベースの肩を押し、しっかりと上昇するようにします。なお、手を置く位置は、なるべく首の近くにしましょう。

そうしなければ、上昇する瞬間、ベースの肩が下がり、安定性を欠く原因となる可能性があります。

 

 

何人かのコーチはエレをコーチングする場合'settle'(置く、据える、落ち着かせる、安定させる)と言った言葉を使います。

 

このように、エレは置くと言った感覚が非常に大切です。 

まず、セットにおいては、フライヤーは足をベースに置きます。その後、リフトされてベースの肩の付近に置かれます。

 

ですから、置くと言った感じを持ちながら、タイミング良くリフトしましょう。そして、ベースはフライヤーのリフトと同時にフライヤーを注視して安全確保にも努めるようにしましょう。フライヤーはリフト中は絶対に足を移動させたりしてはいけません。足の移動がありますと、スタンツの形成過程において非常に不安定な感じになり、見た目も悪くなります。

 

 

●スポティング

 

スポッター(セカンドベース)はフライヤーの安定性と安全の確保をおこないます。タイミングをあわせて、フライヤーをエレの導入に導きます。

 

ただし、エレの導入において、フライヤーを持ち上げてベースの手に乗せないよう注意してください。これは、持ち上げた場合、上手くベースの手に収まればいいのですが、そうでなければ、上からフライヤーの足がベースの手に入り、手首を痛める可能性があるとともに、エレの導入時から無駄な力を使わなければ、いけなくなります。

 

ベースにフライヤーが収まったら、フライヤーをアップしますが、真っ直ぐ上部に手がいくように、フライヤーのアップを補助してください。同時に決して、フライヤーから目を離さないでください。また、ポイントとして、常にフライヤーを押し上げる感覚でスポットしてください。

 

また、フライヤーが後方にバランスを崩した場合に、助けることができるのは後方のベースだけであることにも注意して、フライヤーの安全確保に努めましょう。なお、バックベースはフライヤーの靴の底を持ってはいけません。

必ず足首から上を確保するか、届かない場合はサイドベースの手首をホールドしてください。そして、フライヤーのバランス確保に努めましょう。絶対に守ってください。

 

例のように確保すると、フライヤーがバランスを崩した場合、バックベースは手を離すことができずに、フライヤーを床に落下させるか、衝突して双方がケガをする原因となりますので、覚えておいてください。すばらしいエレができることを、お祈りしています。 阿部

 

 

*練習は常に安全対策と知識のあるコーチの下、おこないましょう。選手同士での練習の場合は、必ずスポッテング技術を練習してから、行いましょう。