★バックハンドスプリング(バック転)の練習のために(参考)
バック転は、誰でも一度はやってみたいと思うタンブリングです。
練習方法はたくさんありますが、その中のひとつを紹介します。
じっくりと、そして確実にゆっくり、一歩一歩、目標に向かって練習してください。
急いでも、決して得なことはありません。
                

さあ、安全対策万全にして、仲間を集めて、はじめましょう!

 1 はじめに

   バック転のポイントは以下のとおりです。                                      

★ 斜め45°にジャンプする

★ 空中姿勢は体操の背伸びの姿勢
(肘をのばし、身体は自然に弓なりに反り、上下にしっかり伸びきる)
無理に反ったりしてはいけない。まさに垂直とびのイメージ
その方向が上ではなく後方であるだけ。

 

実験(体重の軽い人でやってみてください)


補助者は、実施者の背中側の横につきます。(ここでは実施者の左肩側に位置するとします。)

右手は実施者の腰に当て、左手はお尻の下に。足は実施者から遠い方の膝(右)をつきます。
実施者はまず背伸びの姿勢をつくる。その姿勢のまま怖がらないように後ろに倒れます。


補助者はその勢いを止めることなく、腰に当てた右手をほんのわずか、真上にもちあげ、お尻の付け根に当てた左手で回転をさせます。


すると、実施者は上にあげた手と頭の重さで自然に回転し、バック転になります。
つまり、バック転の回転はブリッジ(重要なポイントではありますが・・・)のように反ることで得られるのではなく、重心を上に挙げること、回転の支点を作ることで得られるのです。

したがって、上記の技のポイント★姿勢を徹底的にマスターさせることが大切です。

腰が「く」の字に折れ曲がると危険です。

              ステップ1

 

垂直とびの練習をしてください。そのとき、空中で肘、胸、腰、膝をしっかり伸ばし、一瞬その姿勢を空中で止めることができるようになるまでやります。
 とび箱の上からジャンプさせ空中の姿勢をコーチングします。

上への引き上げを意識しましょう。この段階ではとにかく垂直に飛びあがることを大切に!

 

    使 用 用 具

斜め45度への飛び出しは、平らな床では難しいので、ロイター板(踏み切り板)の傾斜を利用します。大体、2枚重ねにして、45°に近い角度を作ります。
角度か足りなければ、片方にマットを敷くなど工夫してください。

つける角度に遠慮はしないでください。着地点にはウレタンマットなど用意してください。

  


■  ステップ2

 

補助者は「実験」のときと同じです。
実施者は傾斜に立ちます。しっかりしゃがんで垂直とびのようにしっかりジャンプします。
コーチは、

身体が「く」の字に折れ曲がったり、左右にねじれたり、怖がってしっかりジャンプできないといった点

を良く見てあげてください。

 

★★★ 次の段階へ ★★★

  
  
■  ステップ3

 

今回は、何もない状態で45°へのジャンプの方向付けの方法を説明します

 

姿  勢

垂直とびをする場合、一度膝を深く曲げ、腕を後ろまで振り上げてジャンプの準備に入ります。

しかし、違う点はしゃがむ方向が後ろという点です

よく、「イスに腰掛ける感じで!」と指導することが多いです。

実際には椅子がないので後ろに転んでしまいます。その転がる勢いを利用して一気に      

ジャンプするのです。

しかし、「イスに腰掛ける姿勢」を作るのが非常に難しいです。


イスに腰掛ける姿勢とは

かかとを基準と考えて、かかとの真上に膝、膝の高さと水平位置にお尻、お尻の真上に肩という姿勢を作ります。つまり、膝90°90°の「階段」のような姿勢です。

 

背  中

立っている姿勢から「イスの腰掛ける姿勢」を取るとき、どうしても無意識に上半身が前に傾いてしまいます。横から見ると肩と腰の線が斜めになってしまっています。これは、避けていただきたいです。

 

立位から「イスの腰掛ける姿勢」まで背中は床に対して常に垂直を保ってください。

「お尻を突き出して!」と指導します。背中を反らしながらもお尻は突き出すという感じで

す。

 

背中が丸まっていたり、お尻が引っ込んでしまっていると重心が後方へ上手く移動できません。

足の上に重心が残ってしまいがちです。

したがって、先ほどの「膝」のことよりも「背中」をうるさく指導します。 

練習方法

補助をつけます。

@ 補助者は実施者の真後ろに立て膝(ひざ)で構えます

A 手を実施者の肩甲骨のあたりと腰に添えます

 

実施者は背中に手が添えられているので、思い切って「イスの腰掛ける姿勢」を取ります。

補助者は特に「背中」が終始床に対して垂直のまま「イスの腰掛ける姿勢」まで移動しているか確認し、
アドバイスしてください。

これが出来るまで何回も繰り返します。
  
 

一人で練習する場合は壁を使うとよいでしょう。できれば跳び箱の傾斜を使った方がいいかもしれま                  

せん。壁だと背中が同時に「パン」とつけばいいですが、肩の方が早く倒れると後頭部をぶつけてしまいます。
わずかな
傾斜があると突き出したお尻が当り、そこで運動がストップするので安全です。

 

椅子で練習してはいけません。本当に椅子に腰掛けて練習すると、
座った瞬間後ろにひっくり返ってしまいます

後ろに安全マットがあれば別ですがそうでない限りやめるべきです。

また、後ろに倒れないのであれば、それは背中が前屈しているので正しい姿勢ではありません

 

  ●腕
腕は、立位から「イスの腰掛ける姿勢」までずっと前へならえ」のままが、いいでしょう。

手のひらは下に向けてください。

 

ジャンプのように振りかぶってもいいですが、あまり進めません。

(*腕の振りによって「背中」の姿勢が崩れやすい。)

 

★ もう一度おさらい

1 後方斜め45°にジャンプする
2 空中姿勢は体操の背伸びの姿勢

 

この2点に尽きます
  この運動を補助をつけて連続して行います

 

   1、背筋を伸ばし、椅子に腰掛けるように行う。「イチ」
  2、垂直とびを跳ぶようにしっかりとジャンプする。無理に身体を反らさないこと「ニー」

3、垂直とびの姿勢を最後までしっかり保つ。補助者は肩が倒れないように支える


  
★★★ バック転する ★★★

 

● いよいよバック転です。 ●

 

さきほどの練習で補助者が回転を促すだけです

実施者は、「回転」しようと思ってはいけません

無理に身体を反らそうとしてもいけません。ジャンプの蹴りが弱くなる原因です。

蹴りが弱いと補助のしようがありません。

 

とにかくさっきと同じように「後方ジャンプ」をするように指導します。

 

1 「イチ」

2 「ニー」 最後までしっかりジャンプする

3 ジャンプの姿勢を保たせる。

    * このとき腰を「くの字」に折ることがよくあります。

最後まで姿勢を崩さないように指導

もし、「くの字」になってしまったら補助ができないくらい重たいです。

4 手のひらが地面につくまで腰を折らないように

しかし、ここまで我慢できれば上出来です。上半身はしっかり伸びきっていますから。 

5 しっかり手のひらで地面を捉えてフィニッシュ!!  

 

特に「イチ」「ニー」は毎回、実施するたびに言います
 

「やれ!」では怖がってやりません。条件反射的に「用意」「イチ」「ニー」と
声をかければ実施できるくらいに言葉を掛けてください。

 

それと、補助をつけずに練習すると、悪い癖が抜けにくくなるので、
できるだけ補助をつけて練習する事を薦めます。

 

なお、安全対策(マット、サポータ(手首))は、絶対忘れないで下さい。同時に無理はしないでください。

 

成功を祈ります。(阿部)